訃報を「知らせない」。令和ならではの新しい逝き方について考えてみる

一般的に訃報はすぐに親族や友人・知人に知らせて、なるべく早くに葬儀を執り行います。しかし令和という元号になった現代では、あえて訃報を「知らせない」というやり方も増えています。有名人も実はかなり前に亡くなっていたというニュースが流れることもあり、昔のように大勢の人にお別れをしてもらうという形に拘る必要はなくなっています。では、なぜ訃報を「知らせない」のか、その理由と、そういう考えをするようになった背景など見ていきましょう。

訃報を「知らせない」のはなぜなのか

訃報を公に「知らせない」で、家族を始めとした限られた人たちだけが参列する家族葬や直葬を執り行うケースが増えてきています。その理由は、故人の遺志や遺族がそのように希望するからです。

故人がなぜ訃報を「知らせない」事を選んだのかというと、多くの場合は遺族の負担の減らすためです。葬儀というのは、一般葬であれば数十万円から100万円以上はかかるので経済的な負担がかなり重いです。しかも、大勢の参列者が来るとなれば遺族はその対応をやらなければいけません。ただでさえ不幸があって悲しいのに、肉体的にも精神的に負担が重いです。

また、遺族が家族葬や直送を選ぶのは、景気が低迷して家計に余裕がない現代日本の現実によるものです。立派な葬儀を執り行いたくても、お金が出せなければ選択肢として家族葬や直葬を選ばざるを得ません。そして、そういうニーズが高まっている事を受けて、葬儀社もまた規模の小さい葬儀に対応するようになったことも、訃報を「知らせない」家族葬や直葬を増やす理由になっています。

時代とともに訃報に対する価値観が変化している

時代とともに訃報に対する価値観が変化している

今までは訃報を故人の友人や知人に知らせることは、遺族が果たすべき責任のようなものだと考えられていました。もし、誰かに連絡をし忘れてしまったら、その人からは葬儀に参列できなかったことを激しく咎められることもあったでしょう。しかし、現代では、訃報を「知らせない」ことが選択肢の一つとして受け入れられるようになっています。それはまさに、訃報に対する価値観が変化している証拠です。

とはいえ、万人がその価値観を持っているわけではありません。特に高齢者は昔ながらの価値観を良しとしている人が多いので、そういう人たちにも訃報を知らせないままでいれば後で大きな反発を受けることになるでしょう。とは言え、訃報を不用意に伝えてしまうと葬儀に参列したいと言われて厄介な状況に陥ってしまいます。ですから、そういう人たちに対しては葬儀前には訃報を「知らせない」で、なおかつ後から知らせたときに気分を害さないような対策を考えなければいけません。

新型コロナによって加速する訃報を「知らせない」

新型コロナの流行は、社会に多くの影響をもたらしています。もちろん、訃報の知らせ方も例外ではなく、親族にさえも「知らせない」ことがあります。なぜ訃報を「知らせない」ことが新型コロナに関係するのかというと、死因であったときには遺体から感染しないように厳重に密封して火葬されるので伝える暇がないからです。

また、葬儀を執り行うとなれば、大勢の人が会場に集まります。言うまでもなく新型コロナで避けなければいけないのが密集状態です。もし、このような社会状況であえて大勢の人を読んで葬儀を執り行ったときに、クラスターが発生すれば大変な問題になります。遠方から親戚が来ることがあれば、田舎に新型コロナを広めることにもなりかねません。そういう事を考えれば、下手に家族が亡くなったなんてことを口にすることすら難しいです。訃報を伝えるとすれば、新型コロナがワクチンや自粛によって沈静化して、安心して外を歩けるようになってからです。

訃報を事後報告する場合のタイミング

訃報を「知らせない」という選択をするとき、いつまでも秘密のままにはできません。なぜなら、故人が生きているものだと思っている人は、何かの折に電話をかけてきたり家に訪問することがあるからです。そんなときに訃報を知らせれば、相手に大きなショックを与えることになるでしょう。やはりタイミングを見計らって訃報を故人を知っている人たちに知らせるべきです。

では、それがいつなのかということで、葬儀が終わってから1週間から2週間が目安とされています。葬儀が終わってしまえば、伝えた相手が葬儀に来たいということもなく終わります。続いて知らせ方ですが目上の人やごく親しい人であれば、電話で伝えたほうが良いです。しかし、年賀状でしかやり取りしていないとか、数年後とに開催する同窓会でしか会わないというならば喪中はがきで十分です。ただ、どのような形であれ知らせるときには事後報告になってしまったことをお詫びする事が必要です。

まとめ

遺族に迷惑をかけたくないという故人の遺志や、経済的な負担が辛いという遺族の意向により、訃報を「知らせない」で家族葬や直葬でひっそりと弔うケースが増えています。社会がそういうことを許容することになっていますし、葬儀社も対応するようになっている背景があります。

また新型コロナの流行により、火葬がすぐに行われてしまったり集団が集まるのを避けるために訃報を知らせないというケースも出てきています。そうして、訃報を「知らせない」とき、どうやって事後報告をするのかといことで、葬儀が終わってから1週間から2週間後に知らせるのが目安です。相手の立場に合わせて知らせ方を変え、事後報告のお詫びもしたほうが良いです。

おすすめ記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です