人間は生きている間いろいろな行事を執り行います。そして人は亡くなると一連の儀式を得て、お墓に入ります。一連の儀式とは通夜や葬式のことですが、現代ではそれを省いて火葬する「直葬」という方法が増えてきました。直葬をするメリットは多々ありますが、昔と違い家族の形態の変化も原因の一つとして考えられています。ここでは、その直葬のメリットやデメリット、そして納骨拒否のトラブルなどについても、詳しく述べていきます。
直葬はなぜ増えているのか
直葬は「火葬式」とも呼ばれますが、なぜ日本で直葬が増えたのかを考えます。それはいろいろな理由が考えられますが、一つ目は誰にも看取られずに孤独死するケースなどがあります。このような状況になった場合には、亡くなった人の親族がいる場合には連絡することが出来ます。しかし全く身寄りのない人が孤独死をした場合には、通夜や葬式を出したとしても参列者は限られてしまいます。このような無縁な人が亡くなった場合には、直葬されるケースがあります。
他にも直葬のメリットとして、通夜葬式を省くことが出来るということがあるのです。通夜や葬式にはかなりの費用が掛かります。そのような費用を負担したくない場合や、行うのが面倒である場合などは、その一連の行事を省いて、直葬という手段を選んだほうが、大変楽に故人を葬ることが出来ます。費用面でも一般の葬儀では100万円以上の費用が掛かりますが、直葬の場合には30万円程度で行うことが出来るのです。
直葬でのトラブルを考える
直葬はこのように経済的であり、時間も取られず楽なイメージがありますが、デメリットも存在しています。一つ目は故人とお別れする時間が短いということです。通夜と葬式を省くためにすぐにお骨になり、お墓に入ることになります。便利な反面若干寂しい部分も感じられます。他にも直葬の場合には、お寺によってトラブルになることがあるのです。原因は直葬の場合には、通夜と葬式を省いてしまうために、菩提寺によっては、そのような宗教的儀式を省いて納骨することに、嫌悪感を感じてしまうところもあるようです。それが原因で納骨を拒否されるようなことがあるようです。直葬を終えてから納骨を拒否された場合には、お墓にお骨をおさめようがありません。このようなトラブルを防ぐためにも、事前に菩提寺に連絡しておくことが大切になります。なぜ直葬を選びたいのかを話しておくだけでも、理解が得られるかもしれないからです。そうすればトラブルを未然に回避することが出来るかもしれません。
もしも菩提寺に納骨を拒否されたら
納骨を拒否されてもどうしても納骨したい場合にはどのようにしたらよいでしょうか。一つ目の手段として、戒名のみを菩提寺に依頼するという方法があるのです。戒名の依頼では費用として20万円から30万円ほどかかりますが、この場合でも前述の通り、直葬をする前に相談をしておくことが大切です。基本的に直葬を快く思わないような菩提寺であっても、戒名をお願いするだけでも理解が得られるかもしれないからです。他にも四十九日の法要を依頼するという方法もあります。直葬に理解を示さないところでも、そのような法要だけでも依頼すれば、納骨できる可能性が高まるのです。この場合であっても、直葬の前に事前に菩提寺と相談をしておくことが大切です。とにかく、菩提寺との直葬のトラブルを防ぐ最大の手段は、直葬を行いたい旨を事前に知らせて、相談しておくことではないでしょうか。そうすれば穏便に事をすますことが出来る可能性が高まります。
それでも納骨を断られた場合の対処法
戒名や四十九日法要を依頼してもなお、直葬の納骨を断られた場合はどうしたらよいのでしょうか。そのような状況になった場合には、納骨堂を利用するという手があります。納骨堂は建物の中でお骨を管理してもらえるところです。タイプも様々でありロッカーのような納骨堂もあれば、仏壇のようなタイプのところもあるのです。納骨堂以外にも地方自治体が管理をしている、公営の墓地に納骨する方法もあります。公営の墓地は使用料なども安いというメリットが有りますが、安い反面希望者も多く、抽選でしか使用できない地域もあります。それ以外であれば、葬儀社に納骨の相談をするという手もあるのです。そこに相談をすれば、直葬のお骨でも受け入れてくれるお寺を、紹介してもらえるかもしれません。
このように、納骨を断られた場合でも、いろいろな手段があるのです。決してあきらめずにいろいろな手段を考えて、当たってみるようにしましょう。
まとめ
通夜葬式がないために経済的であり、さらに時間も取られない便利な「直葬」ですが、このようなデメリットもあることを覚えておきましょう。一番大きなデメリットは上記にあるような「納骨拒否」ではないでしょうか。それを未然に防ぐには、菩提寺との普段からのコミュニケーションが大切です。とくに直葬直前の相談は一番大切です。お互いに、角が立たないように直葬を執り行えば、故人も安らかに成仏してくれるのではないでしょうか。