感染症で亡くなった場合の葬儀。流れや費用、従来と比べて何が変わるのか

自宅だけでなく病院や遠隔地で亡くなってしまった場合は、遺体を自宅や葬儀場に移動させてから葬儀を執り行うことができますが、感染症が原因の場合は通常の葬儀とは少し手順が異なります。感染症は感染者が亡くなっても他人にウイルスがうつる可能性が残っている場合はどうすればいいのでしょうか。この記事では、感染症が原因で亡くなってしまった方の葬儀の流れや大まかな費用、一般的な葬儀とどう違うのかを解説していきます。

感染症はさまざまな部類に分けられている

一まとめに感染症といっても、一類から三類の特定感染症や四類と五類感染症、インフルエンザなどがあります。どれもほかの病気や事故、老衰で亡くなった方の葬儀とは違いますが、葬儀自体は行うことが可能です。他の病気の場合は基本的に他人にうつしてしまう危険性がないため、事故や老衰などとほぼ同じように行われますが、感染症が原因の場合は他人との接触を極力避けなければならず、中でも特定感染症は遺体に触れただけでうつってしまう可能性があります。そのため死亡診断書が出た後は葬儀会社に頼む前に病院の指示に従い、適切な処置を行ってからでないと葬儀を始めることはできない決まりになっています。また、感染症が呼吸や飛沫のみでしかうつらないのか、排せつ物や血液も含まれるのかでも変わってくるのです。自宅で亡くなっても医師の診断がなければ葬儀ができませんし、感染症の疑いがある場合は死後に検査を受ける必要があり、その結果次第で葬儀の内容が変わります。

感染経路が呼吸や飛沫だけの場合

呼吸や飛沫でしか感染しない場合は、基本的に他人に感染させる危険性が少ないため通常と同じように葬儀を行うことが可能です。ただし、中には例外があり、その感染症が流行している期間に亡くなった場合は通常の葬儀を行うことができない場合があります。前者の場合は通常の葬儀費用に加え、病院では万が一のことを考えて遺体を非透過性の納体袋に入れるため、その費用が掛かることが一般的です。納体袋に掛かる費用や人件費はそれほど掛かりませんが、現在進行形で流行している感染症の場合は特定感染症と同じく厳重に隔離されます。また、医療従事者は防護服を着用して作業するため、その費用も上乗せされてしまうのです。この場合は、葬儀で感染を広めないためにも少人数で行われることが基本ですし、葬儀会社のスタッフも防止のため通常の葬儀では行わないような対策をします。当然対策費用も上乗せされるため、家族葬の場合は上記の料金に火葬代を加えて最低でも50万円程度になります。ほとんどの場合、火葬は葬儀の前に行われるようです。

特定感染症の場合の葬儀

特定感染症とは、ペストやコレラ、ジフテリアや細菌性赤痢、腸チフスなどの感染症です。これらは呼吸や飛沫だけでなく、排せつ物からでも感染してしまう恐れがありますし、ウイルスの威力がほかのウイルスよりも強力なため、遺体は厳重に扱われます。先に説明した通り、流行中の指定感染症も同様です。亡くなってから葬儀に移る前に火葬されることが厚生労働省で決められており、葬儀を行う場合は遺体の前でなく遺骨の前で行うことになります。親族や参列者には感染症が原因であることを伝えることが一般的ですが、義務ではありません。特定感染症が原因の場合の費用も50万円程度が最低ラインです。葬儀の流れ自体は通常の葬儀とさほど変わりません。しかし、火葬がなかったりウイルスの種類によっては収骨自体が禁止されていたりします。自宅や遠隔地で亡くなった場合は、感染症の特定が終わってから葬儀会社に連絡しなければなりません。

葬儀は感染防止が最優先

葬儀は感染防止が最優先

基本的に感染症で亡くなり、葬儀前に火葬されないようなことがあっても遺体に触れることは禁じられる場合がほとんどです。中には棺を空けることすらできないことがあります。通常はスタッフも含めて正装で行われますが、感染症で亡くなった方の葬儀ではマスクやフェイスシールドを着用する場合があるのです。また、身内や参列者は間隔をあけて座ったり、人と人との間に仕切りを設ける場合もあります。遺族が通常の葬儀と同じようにするよう要望を出しても、それを葬儀会社は全てを受け入れてくれるわけではありません。特定感染症の場合はより厳しくなり、もともと少人数の予定でも参列者は身内のみに限定されてしまうこともあります。感染対策を行わなければいけないことは、葬儀会社ごとに決まっているわけではなく厚生労働省が定めたことです。違反して通常のように葬儀を行ったことで感染が広がると、葬儀会社や遺族が責任を取らなければいけなくなることもあります。

まとめ

亡くなった方が感染力のあるウイルスに感染していた場合、通常の葬儀はできない可能性があることを頭の片隅にとどめておくことをおすすめします。しかし、どんな葬儀の形式であれ亡くなった方を思う気持ちに変わりはありません。葬儀会社のスタッフ同様に遺族も感染対策が必要ですし、参列者に感染させないよう徹底しなければならないため、通常の葬儀より費用も疲労も上乗せされます。可能であれば亡くなる前に葬儀会社に相談したり、自分たちでできる対策を学びましょう。

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