少子高齢化によって、葬式で準備をする遺族の人数が減ってきてきています。そうなると葬儀社等の手配をする手間だけでなく費用の負担も重くなっていくので、遺族は深刻な問題を抱えることになります。そこで注目されているのが、DIY葬です。葬式というと大掛かりな準備が必要だから遺族の手ですることなど無理だと思うかもしれませんが、意外とできるものです。もちろんDIY葬を良しとしない人もいるでしょうが、それができれば遺族は大いに助かります。ここではDIY葬について、知っておくべきことを紹介していきましょう。
DIY葬とはどんな葬式なのか
DIY葬という言葉は聞き慣れない人も言うでしょうが、DIY自体はホームセンターなどでも使われているように「Do-It-Yourself」の略であり、自分ですべてをやるという意味です。従来であれば、葬式に必要な僧侶や棺桶等の手配は、全て葬儀社に任せるのが当たり前でしたが、それを自分でやってしまうところかDIY葬の大きな特徴です。実際にそんなことができるのかというと、今の時代では棺桶や骨壷などは簡単に通販で購入できます。
それ以外にも遺体の腐敗を防ぐためにドライアイスなどを用意しなければいけませんし、会場となる施設の利用料などもかかりますが、葬儀社に任せるよりも費用よりも格段に安く済みます。またネットを使えば読経をしてくれる僧侶の派遣も頼めるので、しっかりと弔いをした上で火葬ができます。参列者が少なく、見た目の派手さなどを気にしなくても良い人々にとっては、こういったDIY葬でも十分です。その手軽さ、そして安さに惹かれてDIY葬を選ぶ人が増えています。
DIY葬で気をつけるべきは遺体の搬送
DIY葬はお金をかけずに自分ですべてのことをやる葬式ですが、当然ながら遺体の搬送も自分ですることになります。遺体の搬送は専用の車が必要と思っている人がいるかもしれませんが、医師から死亡診断書を受け取れば誰でもできます。その際に、生きている人と同じように、シートに載せることは止めたほうが良いです。というのも、遺体から口や肛門から体液が出てしまう可能性がありますし、しっかりと固定しなければ急に止まったときには勢いでどこかにぶつかったり車から飛び出てしまう恐れがあります。搬送用の車は十分な車内空間があるものを選び、さらに体液がでないようにガーゼなどの詰め物を肛門に入れておきます。
さらに念を入れておむつを穿かせて、周辺には防水マットやタオルを敷いておきましょう。そして遺体が動かないようにするため、ロープ等でしっかりと固定しておきます。車から遺体の搬入・搬出をするのには、かなりの力が必要になりますから、できれば体力に自信がある人が何人かいたほうが良いです。どうでしても無理ならば、遺体の搬送は業者に任せることを検討しましょう。
DIY葬ならではのこだわり
DIY葬を行うのは安さだけではなく、自分らしい葬式ができるというのも魅力です。故人が好んでいたコレクターズアイテムを会場に飾ったり、仕出し料理ではなく有名店の弁当を振る舞うなどのアレンジができます。それに宗教的な儀式はしたくないというのであれば、読経や焼香などは一切やらずに、ただ参列者が故人を偲んで歓談をするだけの葬式ということもできます。そういったこだわりのある葬式ができれば、故人も満足してこの世を旅立てるでしょう。ただ、そのこだわりを活かすためには、十分な下準備が必要です。
会場の飾り付けや食事、香典返しなどは一から考えなければいけませんからやるべきことは山のようにあります。亡くなったあとからDIY葬の準備をすると、忙しくてミスが発生するかもしれないので準備は生前から進めておくべきです。そうすれば、故人の意向を十分に反映させた内容にもできますから、誰もが納得できる葬式になります。
新型コロナウイルスで需要が高まるDIY葬
新型コロナウイルスの世界的な流行は、葬式にも影響を与えています。人が集まることは避けなければいけないので、通夜や告別式を行うことができなくい世の中です。なので亡くなった後には、すぐに火葬場に遺体を搬送して、荼毘に付す直葬の需要が高まっています。通夜・告別式の準備が必要ない直送なら、全てを自分で行う形式のDIY葬、つまりセルフ葬でも問題ありません
。セルフ葬は、作業をするのが2~3人という程度ですから感染リスクは最低限に抑えられます。なお、その際に必要な道具一式については、自分で通販で購入できますが、葬儀社が取り揃えて送ってくれるセルフ葬サービスというのもあります。葬儀社が関わる分だけある程度は費用が多くなりますが、準備の手間を省ける事を考えれば頼んでも損ではありません。新型コロナウイルスを理由とするセルフ葬を執り行うときには、状況が落ち着いたらあらためて後日葬を行うことで、故人とのお別れができます。
まとめ
従来は葬儀社に任せていた葬式の準備を、自分たちでやってしまうのがDIY葬です。様々な手配を自分でやると言っても通販で頼めますし、費用は格段に安くなるので遺族の負担は軽くなります。注意点としては遺体を搬送するときに体液がでたり、ぶつかったりしないように準備をしなければいけません。そうして自由に葬式ができるならば、故人のこだわりを生かした内容にできます。また、新型コロナウイルスが流行している世の中では、人が大勢集まることもできないので、儀式は行わずに火葬場へと直行する直葬の需要が高まっていますが、簡素な内容なのでセルフ葬で済ませる人が多いです。